空腹感と血糖値は、大いに関係しています。
まず、「満腹」とか「空腹」とかを認識するのは脳だということです。いくら胃の中がからっぽでも、またいっぱいでも、胃が満腹したり空腹になったりするわけではありません。では、脳はどうやって満腹感や空腹感を認識するのかというと、血液中のブドウ糖の量(血糖値)によってなのです。そして、血糖値は肝臓に蓄えられたグリコーゲンによって維持されています。
尚、グリコーゲンは動物における貯蔵多糖または動物デンプンと呼ばれています。体内で余剰エネルギーを糖に変えて維持している物質です。これが増えると予備の栄養源が十分あることになり、また減ると予備の貯蔵エネルギーが少なくなるわけです。
ところで、人間は空腹を感じると食物を摂取し、満腹します。一見、非常に単純な関係にみえますが、実は裏で次のような仕組みになっています。
(空腹を感じる場合)
・生活のため活動することによってエネルギーを消費し、それに伴い肝臓中のグリコーゲンが減少する。
・グリコーゲンの減少に伴い血糖値が下がる。
・血糖値が下がることにより、脳が「空腹」を認識する。
(満腹を感じる場合)
・食事をすることにより、肝臓と骨格筋で炭水化物からグリコーゲンが合成される。
・肝臓中のグリコーゲンが増加する。
・グリコーゲンが増えることにより、血糖値が上がる。
・血糖値が上がることにより、脳が「満腹」を認識する。
ところで糖尿病に罹患している場合は、空腹感と血糖値が連動しません。糖尿病は血糖値が恒常的に高く、空腹感に従って大量に食べると、さらに血糖値が上がって症状が加速度的に悪化します。膵臓から分泌されるインスリンが不足することによって、血糖値の上昇を抑えられなくなるからで、強い空腹感を感じる時は、逆に食事を控えるなどの対処が必要です。